2019.5.23

大学からの帰り道。駅へと向かう道。時計は見てないが、さっき五限の授業が終わったからおそらく18:00過ぎなんだと思う。なんかもう夏の暑さ、太陽は未だに空を照らしている。

お腹が空いた。夕食は何かな。

そんなことを考えるほどに僕は一日の終わりを感じていた。そこまでだ、僕の意識が連続しているのは。気づけば左手にファミチキ、右手に財布を持っていた。まさか買ってしまったというのか。まだ僕はバイトが決まっていない、出来るだけ出費は避けようと今日の昼食も300円に収めたというのに。そんなはずがない。買うはずがない。ならなぜ持っているんだ。なぜレシートも持っているんだ。これは僕じゃない!僕のじゃないから絶対に食べない!僕は買ってないんだからファミチキなんて──!!

ファミチキとはファミリーマートで売っている重めの揚げ物だ。油分が多い。かじってみると確かにクセにはなる味だが、僕は半分で十分だと思った。一個まるまる食べると口に残った油をどうしても拭いきれずに180円の後悔と自責の念を抱いてしまう。そうするとどうしても油分を拭うような、例えばおにぎりやパンが食べたくなる。おにぎりやパンとは炭水化物であり、コンビニに売っている。駅前には大抵コンビニがある。コンビニにはおにぎりやパンがある。おにぎりやパンが食べたい。おにぎりやパンは今、僕の目の前にあるファミリーマートに売っている。財布がカバンに入っている。中身は十分な金が入っている。おにぎりやパンが買える。

まあ、買いはしないが。さすがに更に何かを食べると晩飯が食べれなくなるかもしれない。それ以前にこれ以上何かを買うと昼食は倹約したとはいえこの分を補って余りある出費だ。何も買わないが。が。入ってみるとおにぎり無料セールとかがやってるかもしれないし、百万人目の来店とかでパンを無料で貰えるかもしれないし見るだけ見るというのは無料なわけだからちょっとだけ見るくらいならむしろやらないことが損失なのではないか。

コンビニの中に入る。中には多彩な商品が所狭しと並んでいる。しかしどれも割高だ。さすがに二度目の出費は避けたい。僕はあらゆる誘惑や爽やかな甘さのチーズクリームパン(税込128円)を振り切って店を出た。後顧の憂いを絶つように逃げ込むようにして駅の改札に並ぶ。なかなか列が長い。待っている間、周りに置いてある商品を眺める。スナックやおつまみ、食玩なども売っていて懐かしさを覚える。だんだん列が進んでいく。僕は先頭が見えるにつれ、ようやくか、と思いつつ、左手にある財布と右手にあるパンの袋を強く握りしめた。店員に商品を渡して、慣れない手つきでポイントカードを出して、128円を払った。ありがとうございましたー。店員は新人だったのだろうか。コンビニにしては丁寧な挨拶を背に店を出る。ん?店を出る?

気づけば左手に爽やかな甘さのチーズクリームパン、右手に財布を持っていた。レシートを握りしめていた。僕は、まあそういうことなんだな、と思っておもむろに袋からパンを取り出して一口だけかじった。

128円の味がした。

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